第8話 「朱色の瞳」
ヤムチャの叫び声が響き渡る。
「な、なんだ・・・あの、奴をとりまくオーラは・・・・・・」
ロワーフはヤムチャから発生する不思議な気に動揺し、後ろへ退く。
そのスキをヤムチャは見逃さなかった。
一瞬でロワーフの視界から消える。
「ど、どこだ・・・」
首を一生懸命に振り、ヤムチャのことを探すロワーフ。
「グアア〜!」
突然ロワーフの頬に切り傷が生じる。
「バ、バカな・・・このオレの目でも見えなかった・・・・・・」
頬から流れる血を手で押さえるロワーフ、だが血の勢いは止まらなかった。
「あ、あれがヤムチャ・・・まるで別人だ」
「ボクたちが知っているヤムチャさんはヘタレで足元がおるすなのに・・・」
遠くで見ている悟空たちはヤムチャに対しヒドイ事を言っていた。
ヤムチャの攻撃はなお続く。
今度は足が切り裂かれ、ロワーフは地面に膝をつける。
「お、おのれ〜・・・この誇り高きロワーフ様をここまでこけにするとは・・・ゆるさん・・・絶対に許さんぞーっ!!」
ロワーフの怒りが頂点に達する。
「くたばれーっ!!」
ロワーフは両手を空へ伸ばし、気を放出した。
「あ、危ない!」
ロワーフの攻撃は遠くにいた悟空たちにも影響を及ぼした。
迫り来る気弾を避けるために、悟空たちはロワーフから離れた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
攻撃が止まり、ロワーフは息切れをしていた。
それだけこの攻撃の消耗が激しいかった。
辺りの壁は崩れ、外の光が漏れている所もあった。
これではヤムチャもタダではすまないであろう・・・
「はっはっは・・・!!このロワーフ様を怒らせたのが運のつきだったな」
破壊された壁の残骸を見たロワーフは、ヤムチャの死亡を確信した。
「あとはあの4人を倒し、ダディとグランパの仇を討つ・・・そしてドラゴンボールでフリーザ王朝(ダイナスティ)を復活させる!!ふははははー!!!」
ロワーフの高笑いは止まらない。
「フシュゥゥゥー!!」
「何っー!」
笑うロワーフの背後から声が聞こえた。
振り向くロワーフの視線の先にはには無傷のヤムチャが立っていた。
「ま、まさか・・・このオレのクラッシャー・バーストを喰らって無傷とは・・・・・・」
自分が信じていた技を持ってしても倒せなかった敵を前に、ロワーフは狼狽していた。
ロワーフを見るヤムチャの目がさらに朱(あか)くなっていた。
「・・・・・・そ、その目はま、まさか・・・ガハッ!」
喋る終わる前にヤムチャのパンチがロワーフの腹を貫いた。
ヤムチャが腕を引き抜くとロワーフはそのまま倒れた。
返り血を浴びたヤムチャは、いつもとは別人の姿になっていた。
ホッとしたのか、ヤムチャも力尽きるように倒れた。
「ドラゴンボールが見つかりました!」
トランクスが片手にドラゴンボールを持ち、ドラゴンレーダー代わりとなっているギルと一緒に戻ってきた。
ボスであるロワーフがやられ、建物の中にいた残りの部下達はすでに退散していたので簡単に手に入れる事ができた。
「あとはヤムチャが目を覚ますまで待つか」
「父さん!ヤムチャさんは置いて、次のドラゴンボールを探しに行きましょう!!」
悟飯は少し、苛立っていた。
ヤムチャが敵を倒すなんて、天地がひっくり返ってもありえない事である。
それが今、現実で起こってしまった。
悟飯にとって、ヤムチャが活躍するのはヤムチャが死ぬに続くムカツク事なのである。
「パ、パパ・・・こ、怖い・・・・・・」
初めて見る悟飯の姿に戸惑い、パンはトランクスの後ろへ隠れた。
「う・・・うぅ・・・」
ヤムチャの目が開き始めた。
「気づいたかヤムチャ!」
悟空は目を覚ましたヤムチャに近づく。
だが他の者たちはさきほどの朱瞳のヤムチャのこともあり、遠くに離れていた。
「・・・こ・・・ここは?」
「何言ってるんだよ、ドラゴンボールを探しにこの建物に来たんじゃねえか〜!もっとも建物はこわれちまってるけどな」
ヤムチャはすでに廃墟となっている建物を見渡し、状況を確認する。
「はっ!そういえばロワーフって奴は?」
「おめえが倒したんだぞ・・・覚えていねえのか?」
オ、オレが倒した・・・?
そんなことは記憶無かった。
ヤムチャが覚えている最後の記憶は、ロワーフに心臓を貫かれる所。
自分が生きている事を自らの体を触り、無事な事を調べる。
「まぁ、覚えていねえならそでもいいさ・・・さあ宇宙船に戻るぞ・・・・・・」
悟空とヤムチャが遠くに隠れている仲間たちの下へ歩き始めた。
「ま・・・待ちやがれーっ!!」
瓦礫の下から声が聞こえた。
なんと瓦礫の山から傷だらけのロワーフの姿が現れた。
「生きていたのか・・・」
悟空が構えをとる。
「ひ、ひえぇえぇぇぇーっ!!!く、くぅ・・・くるなぁぁぁーっ!!!!!」
突然の出来事にヤムチャは震え上がり、瓦礫の山に隠れた。
「そ・・・その・・・ドラゴンボールは・・・我が・・・フリーザ王朝の・・・復活のた・・・めに・・・」
腹を貫かれたロワーフはフリーザ王朝復活という執念だけで動いていた。
「こっちも地球のためにドラゴンボールを集めてるんだ!」
悟空はかめはめ波をロワーフに放った。
「ち・・・ちくしょうぉぉぉぉぉー!!!」
かめはめ波はロワーフの体を包み、かめはめ波が消えた頃には灰だけが残っていた。
「ふぅ・・・じゃあ次のドラゴンボールを探しに行こうぜ」
「そうですね、父さん」
「次は簡単に手に入ればいいのですがね・・・」
「早く宇宙船に戻りましょう!」
「ギルルルル〜♪」
隠れていたZ戦士たちは、ヤムチャのヘタレぷりを見て安心した。
3つのドラゴンボールを手に入れたヤムチャたち。
残るドラゴンボールはあと4つ。
そしてヤムチャたちの残された時間はあと10ヶ月と23日。
次回 「空の戦い」