第2話 「主役はオレ! ヤムチャ宇宙に飛び立つ!!」
地球の消滅を食い止めるために宇宙へのドラゴンボール探しを決意した悟空達。
しかし、宇宙船には限られた人数しか乗る事ができなかった。
そこへZ戦士達がブルマの家であるカプセルコーポレーションへ集結した。
「では第1回『ドラゴンボール捜索部隊結成作戦会議』を始めます!」
広いリビングにブルマの声が響く。
「とりあえず子供になっちゃった孫くんとヤムチャは決定ね」
「なんでオレが行かなきゃならんのだー!」
直ぐにヤムチャが反論する。
「あのね、この小説はあくまでもあんたが主人公なの・・・分かる?宇宙に行ってさっさと死んで来なさい!」
「なっ!・・・作者だってどこでオレを死なせようか迷ってるぐらいなのにそんな事を言うなよ!!」
「ふ、二人とも落ち着いてくださいよ・・・今は地球の危機なんですよ」
二人の争いに割り込むように悟飯が発言した。
「そ、そうね・・・こんなバカな争いをしている場合ではないわね・・・・・・」
ブルマは自分の胸に言い聞かせ、息を整える。
争いが終了し、悟飯も安心して席へ戻ろうとヤムチャの横を通る。
「貴様を倒すのはこのボクだよ・・・」
「!?」
悟飯の言葉を聞いたヤムチャは金縛りにあったように動けなかった。
「では気を取り直して、残りのメンバーを決めましょう!」
「は〜い!わたし、立候補しま〜す!!」
「パ、パン!」
手を挙げたのは悟飯とビーデルの子供であるパンだった。
母であるビーデルは驚いたように娘の名前を呼んだ。
「ボクは反対だ!」
続けて父である悟飯も声をあげた。
「え〜、だってドラゴンボールというのを探すだけの旅でしょう?修学旅行みたいで楽しそうだし・・・それに敵が出てきても私がやっつけちゃうから!」
パンは自分の拳を丸めて突き出す。
「敵なんか問題じゃない!!お、お父さんはお前の将来を思って・・・・・・」
悟飯はちらりとヤムチャを見る。
ヤムチャはその気配に気づいたのか、笑みを浮かべて悟飯を挑発していた。
いつもならここでヤムチャを戦闘不能まで殴るのだが、娘の前ではいい父親を演じていないといけないため、殴る事が出来ず拳を硬く握り締めるしかなかった。
「確かに、パンちゃんはまだ幼いから危険よね・・・他に立候補は?」
パン以外に立候補する者は誰もいなかった。
「二人で行くのは辛いわね・・・」
ブルマが困ったように頬を抑える。
その姿を見たベジータが口を開いた。
「修業を怠けてるトランクス!悟天!貴様ら二人が行け!!」
突然のベジータの発言に呼ばれた二人は不満を漏らす。
「なんでオレ達が・・・」
「オ、オレは明日デートの約束が・・・」
「これは命令だ!そして決定だ!!何か文句あるか・・・」
「「あ、ありません・・・」」
「え・・・え〜と・・・じゃあ決定ね!」
メンバーが決まり、あとは明日を待つばかりだった。
そして次の日。
カプセルコーポレーションの外に宇宙船が置いてあった。
ブルマとブリーフ博士がいざという時のために造った宇宙船であった。
「じゃあ、みんな頑張ってね!」
「ああ、絶対にドラゴンボールを集めて戻ってくるからな!」
悟空はいち早く宇宙船の中へ入っていった。
「それじゃあ母さん行ってきます!」
トランクスも悟空に続き宇宙船へ入っていく。
「あれ、悟天くんとヤムチャ?」
「悟天ならあっちで彼女と電話をしていますよ、ヤムチャさんは持っていく物があるって家の方へ」
数分後、ヤムチャが大きなカバンを持って現れた。
「いや〜荷物をまとめるのに苦労してな・・・」
「そんな事どうでもいいから早く乗りなさいよ」
「それじゃあ行ってくるぜ〜!」
ヤムチャは自分よりも大きなカバンを引きずりながらゆっくりと宇宙船へ入っていった。
宇宙船の中では先に入った悟空がイスに座ってくつろいでいた。
「あっ、ヤムチャさんもう少しで出発するのでイスに座ってください」
「分かった、だがその前に・・・」
ヤムチャは持ってきたカバンを開けた。
「ぷは〜・・・苦しかったぁ〜」
「えっ?」
「パ、パン〜!」
カバンの中からパンが飛び出した。
「オレの作戦成功しただろう?」
「成功したけどレディにカバンの中はひどいよ〜」
「そういうなよ・・・」
「な、なんでパンちゃんが・・・?」
「そのことならあとで話すわ、それより出発しましょう!ボタンはこれかな・・・ポチッ」
「あ、ああ・・・」
トランクスが声をあげた時には既にパンは発進スイッチを押していた。
(ズドドドド・・・・・・)
凄まじい音が響き、そして宇宙船は一瞬で大気圏を突破し宇宙へ飛び出した。
「・・・じゃあ説明してくれるかなパンちゃん」
「あ、やっぱり怒ってる?」
「まぁトランクス落ち着けよ」
落ち込んでいるパンをかばおうとヤムチャがトランクスの肩を叩く。
「ていうかなんでパンちゃんの手伝いなんかしたんですか、ヤムチャさん」
「そ、それは・・・その・・・あれだ、あれ・・・・・・」
ヤムチャは戸惑っていた。
本当の事を言えばみんなに軽蔑される、なにより地球へ帰れば悟飯に殺される・・・間違いなく!!
「い、行きたいって言っていただろう?小さい頃からこういう経験をさせるのもいい事かと思ってな、ははは・・・」
「じゃあ、悟飯さんやビーデルさんに許可を取ったんですか?」
「あ、そ・・・それは・・・ああ、ちゃんと二人に話してきたぜ!」
お気づきかと思うが、ヤムチャは二人に許可を取ってきたという事は嘘であった。
(なんとかこの場をしのながなければ・・・しのげばこっちのものよ・・・・・・)
ヤムチャはちらりとパンの方を向く。
「分かりましたパンちゃんの同行を許可しますよ」
「わ〜いやったあ〜♪」
トランクスもパンとヤムチャの熱意に負けたのかパンの同行を認めた。
パンとヤムチャはお互いの手を取り喜んだ。
「悟飯の恐怖からも開放されたし、最高の気分だぜ!!」
「誰の恐怖から開放されたんですか・・・」
後ろの方で声が聞こえた。
一同振り向くが、そこには人の影すらなかった。
「空耳かな、今誰かの声が聞こえませんでした?」
「オラは聞こえたぞ」
「私も聞こえた・・・」
みんなが話しをしている時にヤムチャは嫌な予感がしていた。
「こ、このパターンはもしかして・・・・・・」
ヤムチャの予感は当たっていた。
食料として持ってきた箱の一つから人が飛び出した。
「ふぅ、きつかった・・・」
その人物は悟飯であった。
「全くあれほど行ってはダメだと言ったのに・・・」
「パパどうしてここに?」
「お前が心配だったからに決まっているじゃないか・・・」
悟飯はパンを抱き上げる。
「ご、悟飯さん・・・どうして食料が入っている箱に?」
「みんなを驚かせようとね」
「悟飯、おめえ仕事の方は?」
「それなら心配ないよ父さん、無期限の休暇を取ってきたから」
(ア、アホだ・・・親バカだ・・・・・・)
ヤムチャは心の中で呟いた。
「それにしてもヤムチャさん・・・ボクの許可を取ってきたと言っていましたね」
「あ、ああ・・・あ・・・そ、それはその〜・・・あれだ言葉のあやというもので・・・その〜・・・」
ヤムチャにとって悟飯に見下ろされるという事が今までなかったためにいつも以上に恐怖を感じていた。
「ちょっとあっちに一緒に来てくれませんか?」
「あ、それは・・・」
「来てくれますよね?」
「は、はい・・・」
笑っている悟飯に対し、ヤムチャはただ従うしかなかった。
「それじゃあパパはヤムチャさんと話をしてくるからパンはここで待っているんだよ」
「うん!」
(オ、オレに休息という文字は存在しないのか・・・)
ヤムチャは悟飯に引きずられながら思うのであった。
悟空、悟飯、トランクス、パン、そしてヤムチャと・・・
本当に奇妙な5人組のドラゴンボール探しの旅が始まった。
次回 「愛しのハニー!? 花嫁はヤムチャ」