第十五話「地球人としての意地」

「もう、終わりか・・・」
アモンドの足元にクリリンが転がっていた。
「あ・・・あぐぅ・・・・・・」
クリリンの体は満足に立ちあがれる状態では無かった。
両手に力を込め、体を震わせながらゆっくりと立ち上がる。
「ま・・・まだ・・・・・・」
「そうこなくてはな・・・はあっ!!」
アモンドの手から気弾が放たれる。
「くっ・・・」
クリリンは体を反らし、ギリギリの所で気弾をかわす。
しかし、その単調な動きはアモンドに読まれていた。
すぐにアモンドの攻撃がクリリンを襲う。
「ぐあっ!!」
防御をしてダメージを軽減しようと頭では考えているのに、体がついていかなかった。
岩場に激突し、クリリンの動きが止まる。
「残念ながらここまでのようだな・・・トドメを刺そう・・・・・・」
アモンドは両手を広げ、気を溜め始めた。
クリリンはふらつきながらも、気力で立ち上がる。
そして両手をアモンドに向かって突き出した。
「なんのつもりだ・・・まさか、オレと気弾の勝負をするつもりじゃあるまいな!」
アモンドがクリリンに問う。
「はあ・・・はあ・・・」
「もはやまともに喋る力も残っていないか・・・すぐに楽にしてやるぞ!!はあっ!!!」
アモンドは両手を合わせ、クリリンに向かって巨大なエネルギーの塊を放った。
クリリンはその攻撃を待っていたかのように、左に迂回する。
「バ、バカな・・・まだ動ける力があったとは」
エネルギー波が岩場に直撃する瞬間、クリリンは巨大な気弾を放った。
アモンドの気弾が爆発し、岩の破片や、煙が辺りを支配する。
「ちっ・・・奴の狙いはこの状況をつくり、気弾での最後の賭け」
アモンドの周りは煙によって視界が悪い。
目での気弾の判別は難しい。
そこでアモンドは目を閉じ、音で気弾の位置を探った。
グアウォッ
「!?・・・くっ!」
アモンドは迫り来る気弾を寸前のところでかわす。
「ふっ・・・残念だったな・・・お前の最後の賭けも無駄に終わったな!!」
「・・・・・・そうでもないぜ!」
「なにっ・・・」
左右から気弾がアモンドに向かって飛んでくる。
「な、なんだと!?」
不意をつかれたアモンドは気弾の一つをかわすのが精一杯だった。
「くそっ!!」
左手で残りの気弾を振り落とす。
「い、一体何が・・・」
予想外の出来事にアモンドは動揺を隠せずにいた。
「消えろ!!!!」
アモンドは凄まじい勢いで手を振った。
その時の生じた衝撃波が煙を消し去る。
アモンドの目に飛び込んできたのは無数の気弾。
それはクリリンの必殺技である拡散エネルギー波であった。
「これで最後だ・・・」
クリリンは手を振り下ろす、するとアモンドの上に浮かんでいた気弾が地上へ落ち始めた。
「くっ・・・」
無数の気弾がアモンドに襲いかかった。
アモンドは咄嗟に後ろへ下がり、気弾の直撃を避けた。
「ち・・・ちくしょう・・・・・・」
クリリンは悔しがる。
「あ、危なかった・・・まともに喰らえば命は無かったな、だがこれで貴様は終わりだ!!」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・」
全ての力を使い果たしたクリリンは膝を地につけ肩で息をしていた。
「うおおおおおお!!!!」
アモンドはクリリンに向かって突進する。
「へへへ・・・最後の最後で詰めを誤ったな・・・・・・」
「な、なんだと!?」
クリリンの意味深な言葉、それと同時に右手を空に向かって上げる。
ヒュン! ヒュン! ヒュン!
「が、がはっ!?」
多数の気弾がアモンドを襲った。
「な・・・なぜ・・・・・・」
「はあ・・・さ・・・さっきお前がかわした気弾は・・・地面に落ちても・・・爆発しなかったんだ・・・はあ・・・そしてお前がオレを倒そうと・・・防御がガラ空きになる瞬間・・・気弾を浮上させたんだ・・・」
「ぐっ・・・裏の裏をかかれたわけか・・・・・・」
アモンドは死んだのか、気を失ったのか、目を閉じ、動かなくなる。
「はあ・・・はあ・・・思ったより・・・ダメージが大きい・・・め、目が閉じてきた・・・ぜ・・・」
アモンドが倒れるのを見て、クリリンも目を閉じた。




「うおおおっ!」
天津飯がパンチを繰り出す、ダイーズはそれを難なくかわす。
「はあっ!」
すかさず蹴りを放つが、これもダイーズに避けられる。
「悪いが、貴様の動きは既に見切っている・・・諦めろ」
「はあ・・・はあ・・・はは・・・・・・」
「ん・・・何がおかしい・・・・・・」
「貴様を倒す方法が見つかってな・・・」
天津飯は自信ありげに答えた。
「なんだとぉ〜!ならばその方法を見せてみろ!!」
ダイーズは天津飯の言葉に激怒し、気弾を放った。
天津飯は岩場の陰に隠れ、気弾をかわす。
「どうした!!早くこのオレを倒してみろ!!!」
ダイーズは天津飯が隠れている岩場に気弾を放つ。
徐々に岩場が崩れてゆく。
たまらず天津飯は岩場の陰から飛び出した。
「はっはっは!!!」
ダイーズはさらに気弾を放つスピードを上げた。
天津飯は臆することなく、ダイーズに向かって行った。
「ただ突っ込んで来るだけか・・・そんなことでこのオレは倒せんぞ!!」
天津飯は迫り来る気弾を弾きながら、ダイーズとの距離を縮めていく。
「バカめ!!スキだらけだ!!!」
ダイーズは右手を素早く突き出した!!
「がはっ!!!」
攻撃は天津飯の腹を貫いた。
天津飯の胃の中に、鉄の味が広がった。
「結局オレを倒す方法があるというのは、ハッタリだったということか・・・」
ニヤリと笑うダイーズ、だが腹を貫かれた天津飯も笑っていた。
「ここまでやられてまだ笑うとはな、オレに殴られて頭でもおかしくなったのか?」
「はっはっは・・・オレはまだ負けてなどいない!」
バッ!
「・・・!?」
ダイーズと天津飯の上空(うえ)を取った人物がいた。
「バ、バカな!!」
ダイーズが驚くのも無理は無い、なぜならその人物は自分の目の前にいる人物と同じ者なのだから。
「はあああ・・・どどん波!!!!!」
スキだらけのダイーズにもう一人の天津飯がどどん波を放つ。
「かはっ・・・」
どどん波はダイーズの左胸を貫いた。
腹を貫かれた天津飯はダイーズの手を抜く、するとダイーズはゆっくり後退しながら地面に倒れた。
「な・・・なぜだ・・・・・・」
「この技は自らの力を均等に分散し、もう一人の自分を創ることが出来る技だ・・・しかし力を均等に分散する事によって個々の力が弱まるのが弱点だった・・・だが長年の修業によって攻撃、防御、スピードなどの数々の能力を自分の意思で分散できるようになった・・・」
「な・・・なるほど・・・オレが腹を貫いた方には防御、スピードを・・・そ・・・そして・・・オレを倒した方には攻撃力を分散させたわけか・・・・・・ははは・・・か、完敗だ・・・・・・ごはっ・・・・・」
ダイーズは口から大量の血を吐く、そして身体を支配する動きが止まった。
天津飯は元の一人に戻る。
「ぐっ・・・が・・・あ・・・・・・」
元に戻ったからといって腹を貫かれたダメージも元に戻るわけではない。
「ち・・・はぁ・・・はぁ・・・仲間の助けに・・・いかなければ・・・・・・」
天津飯は岩場に寄り添いながら進む。
「・・・た・・・すけ・・・に・・・いか・・・な・・・・・・」
天津飯の視界に暗闇が広がった。




「繰気弾!!! ばっ!!!!!」
凄まじいスピードの気弾が相手に襲いかかる。
「・・・・・・」
敵は無言のまま立ち尽くす。
「へへへ・・・」
ヤムチャは勝利を確信したのか、笑みを浮かべる。
しかし敵は繰気弾が当たる瞬間、姿を消す。
「な・・・ど、どこだ・・・!!」
敵の動きはヤムチャの目では捉えきれないほど速かった。
ヒュッ!
「!?」
空気音がヤムチャの背後から聞こえた。
ヤムチャが振り向いた時には相手の蹴りを喰らっていた。
「くっ・・・・・・」
地面に両手をつけて、動きを止める。
ヤムチャは焦っていた。
自分の得意技である繰気弾のスピードですら相手を捉える事ができなかった。
(あのスピードをどうにかしないと・・・凄まじいスピード・・・そうだ!!)
ヤムチャは敵に向かって気弾を放つ。
そして爆発で舞い上がる煙を使い、姿を隠した。
・・・
・・

「はぁ・・・はぁ・・・全く冗談じゃないぜ!あんな奴を相手に戦えるかっつうの!!」
ヤムチャはブツブツ言いながら何かの作業をしていた。
「これでよしっ!」
作業を終えたヤムチャは見通しのいい一直線の道へ立ち、気弾を放った。
気弾を放てば、敵に自分の場所を教えてしまう事はヤムチャ自身も知っていた。
案の定、敵はヤムチャの前へ姿を現した。
「・・・もうオレは諦めた、一思いに殺してくれ!・・・ただし、最高のスピードでオレを貫いてくれ!!痛い思いはしたくないんだ!!!」
ヤムチャは敵に向かって叫んだ。
敵はヤムチャの言葉を理解したのか、ヤムチャの視界から姿を消した。
ヤムチャは両手を広げ、無抵抗状態となり目をつむった。
・・・

・・


ヒュン!ズバッ!ブシュ!

「・・・!?」
ヤムチャに温かい液体がつく。
しかし、ヤムチャ自身は無傷であった。
「ふっはっははっは!まんまとひっかかったな!!」
高笑いするヤムチャの足元には敵が傷ついていた。
左腕は完全に切断されていて、体中にも無数の切り傷がついていた。
「てめえのそのスピードを利用させてもらったぜ!」
ヤムチャが指刺す方向に、血がついた細いワイヤーが張り巡らされていた。
ただのワイヤーでの攻撃では相手に傷をつけることはできない、そこでヤムチャが考えたのは相手のスピードを利用した待ちの攻撃であった。
それは走っている人に急に足をかけると派手に転ぶのと同じ容量。
ヤムチャはその方法で見事相手の動きを止めることに成功した。
「形勢逆転だな、その傷ではもうあのスピードはだせないだろう・・・」
「・・・・・・」
敵は無口なのか、喋れないのか、無言であった。
「おい!なんとか言ったらどうだ・・・なっ!?」
ヤムチャは敵に腕を捕まれた。
「は、離せ!」
振りほどこうと力を込めるが、相手の手は外れなかった。
『自爆モードに切り替えます・・・爆発まであと3秒・・・・・・』
敵の戦闘服から声が聞こえた。
「じ、自爆だと・・・」
敵は自分の負けを悟り、自爆でヤムチャをみちづれにしようとした。
『2・・・1・・・』
「くっ・・・離しやがれ!!」
ヤムチャは敵の腕に向かって気弾を放つ、すると敵のフックが甘くなった。
「いまだ!」
ヤムチャはつかまれていた腕を振りほどき、逃げようと舞空術を使う。
『0・・・』
0(ゼロ)という言葉と同時に、爆音があたりに響いた。
ヤムチャは爆発に飲み込まれた。
・・・
数分後、辺りは落ち着きを取りもどしていた。
「ぜぇ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
爆発の中心に一人の男が立っていた。
「はぁ・・・残念だったな・・・何度も自爆を喰らっているんだ・・・それなりの免疫力がオレにはついているんだ・・・」
(だが・・・さすがにダメージは大きい・・・す・・・少し・・・休ませて・・・く・・・れ・・・・・・)
ヤムチャはゆっくりと地へ身体を預けた。




・・・!?
「敵の・・・気が消えた・・・・・・」
「ちっ・・・あの役立たず達め!」
Z戦士たちの戦いの結果はトランクスとピッコロ、そしてターレスにも伝わっていた。
「とうとう貴様だけになったな・・・そろそろ降りてきたらどうだ?」
ピッコロがターレスを挑発する。
「そうだな・・・サイヤ人の本当の恐ろしさを教えてやるぜ・・・」
ターレスはピッコロとトランクスが待つ、地上へ向かった。


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